『世界一の物語』 ~夢犬・フランソワの大冒険~
時間は無限のように長く、終わりのないように思えた時、じりじりとして待っていた玉留に朗報が飛び込んできた。
「発見しました」
「生きているのね」
確信した玉留は期待を込めて捜索隊長の返事を待った。
「それが……」
隊長の声が曇った。
発見したのは、フランソワではなくロープだというのだ。
「ロープ?」
軽子の悪行を知らない玉留は捜索隊長の報告に首を傾げた。
「変な形で海に浮いていたのです。何かを縛ったような形のまま浮いていました。そんなものが海に浮いているのは余りにも不自然な気がしたので引き上げました。すると、毛が3本ついていました。それを迅速DNA判定機で調べた結果、フランソワ様のDNAと一致したのです」
「それで、その近くにフランソワは?」
「見つかりませんでした。影も形もありませんでした」
「そう……」
玉留はガクッと肩を落とした。
プールの排水溝に吸い込まれてからもう何日も経っていた。
今見つからないということは、最悪のケースしか考えられなかった。
「ですが」
捜索隊長が不思議なことを口にした。
「ロープが見つかった海域から東側を捜索している時に、今まで見たことのない光景を目にしたのです」
「何? 何を見たの?」
「それが……」
「早く言いなさい」
玉留が受信機に噛みついた。
「シャチが直径1キロの円を描くようにグルグルと回っていたのです。それも、何十頭という数で」
玉留はその光景を頭に描いたが、意味するところは何もわからなかった。
「その円の中に何があったの?」
「それが……」
また捜索隊長が口ごもった。
「じれったいわね。何があったのよ!」
玉留の雷が落ちた。
「何もありませんでした。肉眼でもレーダー探査でも、何も見つからなかったのです」
「そんなわけないでしょう。何かあるからシャチがいるんでしょう。なんにもない所にシャチが何十頭も集まるわけないじゃない」
「そう思うのですが……」
消え入りそうな捜索隊長の声を聞きながら、玉留は困惑した。
もう打つ手はないのだろうか……、
玉留の目に涙が溢れ、鼻水が垂れてきた。
ティッシュを鼻に当ててチンと噛もうとした時、捜索隊長の声が耳に届いた。
「念のために超小型探査ロボットを投下しておきました」
その途端、玉留の顔がパッと明るくなった。
「やるじゃない。よく気づいたわね。何かわかったらすぐに報告して」
「発見しました」
「生きているのね」
確信した玉留は期待を込めて捜索隊長の返事を待った。
「それが……」
隊長の声が曇った。
発見したのは、フランソワではなくロープだというのだ。
「ロープ?」
軽子の悪行を知らない玉留は捜索隊長の報告に首を傾げた。
「変な形で海に浮いていたのです。何かを縛ったような形のまま浮いていました。そんなものが海に浮いているのは余りにも不自然な気がしたので引き上げました。すると、毛が3本ついていました。それを迅速DNA判定機で調べた結果、フランソワ様のDNAと一致したのです」
「それで、その近くにフランソワは?」
「見つかりませんでした。影も形もありませんでした」
「そう……」
玉留はガクッと肩を落とした。
プールの排水溝に吸い込まれてからもう何日も経っていた。
今見つからないということは、最悪のケースしか考えられなかった。
「ですが」
捜索隊長が不思議なことを口にした。
「ロープが見つかった海域から東側を捜索している時に、今まで見たことのない光景を目にしたのです」
「何? 何を見たの?」
「それが……」
「早く言いなさい」
玉留が受信機に噛みついた。
「シャチが直径1キロの円を描くようにグルグルと回っていたのです。それも、何十頭という数で」
玉留はその光景を頭に描いたが、意味するところは何もわからなかった。
「その円の中に何があったの?」
「それが……」
また捜索隊長が口ごもった。
「じれったいわね。何があったのよ!」
玉留の雷が落ちた。
「何もありませんでした。肉眼でもレーダー探査でも、何も見つからなかったのです」
「そんなわけないでしょう。何かあるからシャチがいるんでしょう。なんにもない所にシャチが何十頭も集まるわけないじゃない」
「そう思うのですが……」
消え入りそうな捜索隊長の声を聞きながら、玉留は困惑した。
もう打つ手はないのだろうか……、
玉留の目に涙が溢れ、鼻水が垂れてきた。
ティッシュを鼻に当ててチンと噛もうとした時、捜索隊長の声が耳に届いた。
「念のために超小型探査ロボットを投下しておきました」
その途端、玉留の顔がパッと明るくなった。
「やるじゃない。よく気づいたわね。何かわかったらすぐに報告して」