『世界一の物語』 ~夢犬・フランソワの大冒険~
「ところで、日本にはまだ残業という悪しき習慣が残っているらしいな」
フランソワをじっと見つめてから視線を大臣に移した。
「残業を良しとする会社、経営者、上司がいるなんて信じられるか?」
問われた大臣は大きく首を横に振って断言した。
「あり得ません!」
ん~、そうなんだけど……、
フランソワは、社員の側にも問題があることを伝えた。
「生活費を少しでも稼ぐために自ら進んで残業をしている社員もいるのです。中には、家に帰りたくないという理由で残業している社員もいると聞いたことがあります」
「オ~・マイ・ゴッド!」
富裸豚と大臣はほぼ同時に声を発し、沈鬱な表情を浮かべた。
「日本人は人生を無駄使いするのが好きなのか?」
うっ!
フランソワは息が詰まった。
なんも言えねえ。
二人をまともに見ることができなくなった。
顔を上げられなくなったフランソワに、富裸豚が思い切り皮肉を言った。
「日本人は変わっとるの~。残業が好きで、赤字が大好物で」
大好物って、そんなことはないけど。でも、1,200兆円の借金があるのは確かだよな、
ブツブツ言っていると、耳をつんざくほどの大声が鼓膜に響いた。
「ワシは赤字が大嫌いじゃ!」
鼓膜が破れる危険を感じて両耳を肉球で強く押さえたが、そんなことはお構いなしに更に大きな声を出した。
「ワシは覇王になってから150年になるが、一度も赤字を出したことがないんじゃ~」
150年?
あんたって、今何歳?
「赤字は悪! と言い聞かせてこれまでやってきた。身の丈に合った財政支出を心掛けてきた。だから、国民受けするバラマキや補助金には一切手を染めなかった。その結果、150年間黒字を出し続けて、累積黒字が1,000兆円を超えた」
なんと、日本と正反対!
「もし一度でも赤字を出したらワシは覇王を辞める」
毅然とした態度で言い切る姿にフランソワは感動して涙が出そうになったが、その時、首の後ろに微弱な振動を感じた。
ん?
後ろ足で確かめたが何も触れなかった。
気のせいか……、
フランソワは富裸豚に向き直った。
フランソワをじっと見つめてから視線を大臣に移した。
「残業を良しとする会社、経営者、上司がいるなんて信じられるか?」
問われた大臣は大きく首を横に振って断言した。
「あり得ません!」
ん~、そうなんだけど……、
フランソワは、社員の側にも問題があることを伝えた。
「生活費を少しでも稼ぐために自ら進んで残業をしている社員もいるのです。中には、家に帰りたくないという理由で残業している社員もいると聞いたことがあります」
「オ~・マイ・ゴッド!」
富裸豚と大臣はほぼ同時に声を発し、沈鬱な表情を浮かべた。
「日本人は人生を無駄使いするのが好きなのか?」
うっ!
フランソワは息が詰まった。
なんも言えねえ。
二人をまともに見ることができなくなった。
顔を上げられなくなったフランソワに、富裸豚が思い切り皮肉を言った。
「日本人は変わっとるの~。残業が好きで、赤字が大好物で」
大好物って、そんなことはないけど。でも、1,200兆円の借金があるのは確かだよな、
ブツブツ言っていると、耳をつんざくほどの大声が鼓膜に響いた。
「ワシは赤字が大嫌いじゃ!」
鼓膜が破れる危険を感じて両耳を肉球で強く押さえたが、そんなことはお構いなしに更に大きな声を出した。
「ワシは覇王になってから150年になるが、一度も赤字を出したことがないんじゃ~」
150年?
あんたって、今何歳?
「赤字は悪! と言い聞かせてこれまでやってきた。身の丈に合った財政支出を心掛けてきた。だから、国民受けするバラマキや補助金には一切手を染めなかった。その結果、150年間黒字を出し続けて、累積黒字が1,000兆円を超えた」
なんと、日本と正反対!
「もし一度でも赤字を出したらワシは覇王を辞める」
毅然とした態度で言い切る姿にフランソワは感動して涙が出そうになったが、その時、首の後ろに微弱な振動を感じた。
ん?
後ろ足で確かめたが何も触れなかった。
気のせいか……、
フランソワは富裸豚に向き直った。