『世界一の物語』 ~夢犬・フランソワの大冒険~
気のせいではなかった。
フランソワの首から一匹の虫が飛び立っていったのだ。
それは、てんとう虫型の超小型探査ロボットであり、玉留の私的捜索隊長が放ったものだった。
間を置かず、美家に滞在している玉留の受信機が点滅した。
捜索隊長からだった。
「玉留様、フランソワ様はアトランティス大国に囚われたようでございます」
「アトランティス大国?」
玉留が目を剥いた。
「千年間鎖国を続けている海底国家の?」
「そうでございます。交易があるのはゴンドワナ大国とムー大国の二つだけと言われている世界最強の海底国家でございます」
「何故そこにフランソワが?」
「理由はわかりません。てんとう虫型の探査ロボットがフランソワ様の首の毛に絡まって、毛の映像しか見ることができませんでしたし、密集した毛に阻まれて音声も十分に聞き取れませんでした。先ほどやっと空中に飛び出すことができたので、鮮明な映像と音声を受信することができたのです」
「それで?」
「飛び立った瞬間、アトランティス大国の富裸豚覇王をアップで捉えました」
富裸豚……、
表舞台にまったく出てこない幻の男……、
「ところで、フランソワは無事なの?」
「そのようでございます」
玉留は安堵の余り腰が抜けたようになった。
よくぞ生きて……、
どれだけ苦労したのかと思うと涙が出そうになったが、ハッと現実に戻った。
「どうやって救助する?」
返事を待った。
しかし、重苦しい沈黙が続くばかりだった。
アトランティス大国はアメリカを凌ぐ世界最強の軍備を誇っているだけでなく、入国できる場所は深海に一か所しかないのだ。
しかも、日本との国交はない。
忍び込んでフランソワを救出することは不可能と言っても過言ではなかった。
どうしたらいいの?
答えのない疑問がグルグル回って、玉留の苦悩は底なし沼に沈み込んでいった。
フランソワの首から一匹の虫が飛び立っていったのだ。
それは、てんとう虫型の超小型探査ロボットであり、玉留の私的捜索隊長が放ったものだった。
間を置かず、美家に滞在している玉留の受信機が点滅した。
捜索隊長からだった。
「玉留様、フランソワ様はアトランティス大国に囚われたようでございます」
「アトランティス大国?」
玉留が目を剥いた。
「千年間鎖国を続けている海底国家の?」
「そうでございます。交易があるのはゴンドワナ大国とムー大国の二つだけと言われている世界最強の海底国家でございます」
「何故そこにフランソワが?」
「理由はわかりません。てんとう虫型の探査ロボットがフランソワ様の首の毛に絡まって、毛の映像しか見ることができませんでしたし、密集した毛に阻まれて音声も十分に聞き取れませんでした。先ほどやっと空中に飛び出すことができたので、鮮明な映像と音声を受信することができたのです」
「それで?」
「飛び立った瞬間、アトランティス大国の富裸豚覇王をアップで捉えました」
富裸豚……、
表舞台にまったく出てこない幻の男……、
「ところで、フランソワは無事なの?」
「そのようでございます」
玉留は安堵の余り腰が抜けたようになった。
よくぞ生きて……、
どれだけ苦労したのかと思うと涙が出そうになったが、ハッと現実に戻った。
「どうやって救助する?」
返事を待った。
しかし、重苦しい沈黙が続くばかりだった。
アトランティス大国はアメリカを凌ぐ世界最強の軍備を誇っているだけでなく、入国できる場所は深海に一か所しかないのだ。
しかも、日本との国交はない。
忍び込んでフランソワを救出することは不可能と言っても過言ではなかった。
どうしたらいいの?
答えのない疑問がグルグル回って、玉留の苦悩は底なし沼に沈み込んでいった。