『世界一の物語』 ~夢犬・フランソワの大冒険~
「瞬間ガス発生カプセルだったの」
 体中のガスが抜けて元のスタイルに戻った玉留が笑った。
「でも、何故僕のいる場所がわかったのですか?」
 世界最高レベルのステルス技術と透明化技術で守られているため、可動式人工島の場所は絶対にバレないと豪語していた富裸豚の顔が思い浮かんだ。
「シャチよ。シャチが何十頭も円を描くように泳いでいたの」
 シャチが発する超音波はあらゆるものを把握できるという。人間には見えないものでも、その輪郭はもとより組成物までわかってしまうらしい。
 ウソだろ? 
 ヤバイ、ヤバイ! 
 このことを一刻も早く教えなくてはならないと富裸豚の身の安全を気にかけた時、捜索隊長が玉留に耳打ちした。
「えっ? 富裸豚が危ない?」
 しまった、
 遅かったか、
 唇を噛んだが、状況は考えていることとはまったく違っていた。
「ゴンドワナ大国とムー大国、そして、アトランティス大国の定例首脳会談が明朝に行われるようです。そのため、ゴンドワナ大国の自己中駄王(じこちゅうだおう)とムー大国の眠優王(みんゆうおう)がアトランティス大国の首都オスシーラに滞在しておりますが、自己中駄王による富裸豚暗殺計画を我々は察知したのです」
 フランソワの首から飛び立ったてんとう虫型探査ロボットは、その後もアトランティス大国内を飛び回って、多くの情報を収集していた。
 そうする中で、自己中駄王の陰謀を嗅ぎつけたのだ。
 更に捜索隊長の報告が続いた。
 
 
< 78 / 117 >

この作品をシェア

pagetop