『世界一の物語』 ~夢犬・フランソワの大冒険~
「承知した。我が国の最新技術を無償で提供しよう」
富裸豚の力強い声を聞いて、彼と直接通信できる特別なスマホを持つフランソワの肉球に力が入った。
しかし、その最新技術が〈空気から水を取り出す技術〉と聞いて、ガッカリした。
「砂漠は乾燥していますから、それはちょっと……」
そんなものが役に立つとは、とても思えなかった。
「心配するな、大丈夫じゃ。砂漠といえども湿度は20パーセントから25パーセントくらいあるのじゃ。それだけあれば十分じゃ」
自信満々の声が返ってきたが、それでもフランソワは信じられなかった。
「お言葉を返すようで申し訳ありませんが、それが実用に耐えうるものだとはとても考えられません」
ドラッグストアで売っている置き型除湿剤しかイメージできなかった。
毎日少しずつしか溜まらない水ではなんの役にも立たない。
しかし、それを伝えると大笑いされてしまった。
「この技術は公開していないから詳しいことは言えんが、既に大量の水を短時間で取り出すことができる装置が完成しておるのじゃ」
それは、特殊な金属有機構造体を使って空気中の水分を高効率に付着させる技術なのだという。
「でも、そうだとしても、その装置を動かす電源がありません」
砂漠の中に電線を引くことはできないと否定したが、「太陽があるじゃろ。太陽光発電をすればいくらでも電気は作れる」と平気な声が返ってきた。
それでも頷くことはできなかった。
砂漠に敷き詰められた太陽光パネルの巨大な森を思い浮かべてみたが、そんなものを設置するのは不可能としか思えなかった。
それを告げるとまた笑われた。
「日本で実用化されている太陽電池の変換効率は20パーセントくらいらしいが、ワシのところの変換効率は60パーセントを超えておるのじゃ。言ってもわからんかもしれんが、特殊な構造を持つⅢ-Ⅴ族化合物太陽電池が実用化できておって、すぐにでも出荷することができるのじゃ」
金属有機構造体にⅢ-Ⅴ族?
なにそれ?
理解不能だった。
脳の海馬に押し込もうとしても、受け取り拒否をされるばかりだった。
基本的な知識の欠片もないフランソワは、理解するのを諦めた。
その代わり、現実的な問題に焦点を当てた。
富裸豚の力強い声を聞いて、彼と直接通信できる特別なスマホを持つフランソワの肉球に力が入った。
しかし、その最新技術が〈空気から水を取り出す技術〉と聞いて、ガッカリした。
「砂漠は乾燥していますから、それはちょっと……」
そんなものが役に立つとは、とても思えなかった。
「心配するな、大丈夫じゃ。砂漠といえども湿度は20パーセントから25パーセントくらいあるのじゃ。それだけあれば十分じゃ」
自信満々の声が返ってきたが、それでもフランソワは信じられなかった。
「お言葉を返すようで申し訳ありませんが、それが実用に耐えうるものだとはとても考えられません」
ドラッグストアで売っている置き型除湿剤しかイメージできなかった。
毎日少しずつしか溜まらない水ではなんの役にも立たない。
しかし、それを伝えると大笑いされてしまった。
「この技術は公開していないから詳しいことは言えんが、既に大量の水を短時間で取り出すことができる装置が完成しておるのじゃ」
それは、特殊な金属有機構造体を使って空気中の水分を高効率に付着させる技術なのだという。
「でも、そうだとしても、その装置を動かす電源がありません」
砂漠の中に電線を引くことはできないと否定したが、「太陽があるじゃろ。太陽光発電をすればいくらでも電気は作れる」と平気な声が返ってきた。
それでも頷くことはできなかった。
砂漠に敷き詰められた太陽光パネルの巨大な森を思い浮かべてみたが、そんなものを設置するのは不可能としか思えなかった。
それを告げるとまた笑われた。
「日本で実用化されている太陽電池の変換効率は20パーセントくらいらしいが、ワシのところの変換効率は60パーセントを超えておるのじゃ。言ってもわからんかもしれんが、特殊な構造を持つⅢ-Ⅴ族化合物太陽電池が実用化できておって、すぐにでも出荷することができるのじゃ」
金属有機構造体にⅢ-Ⅴ族?
なにそれ?
理解不能だった。
脳の海馬に押し込もうとしても、受け取り拒否をされるばかりだった。
基本的な知識の欠片もないフランソワは、理解するのを諦めた。
その代わり、現実的な問題に焦点を当てた。