血管交換シヨ?
美桜ちゃんの存在を知ってからも
スズのツキくんへの気持ちは変わらなかった。
止められなかった。

美桜ちゃんが提示した″倫理観″が何度脳裏を掠めても
誰よりも大好きだって、大切だって疼いてしまう感情を
制御する方法をスズは知らなかった。

ツキくんを心の中から失くしてしまったら
スズの何もかもが壊れてしまう気がした。

麻薬だった。

明日、目覚めて日常にツキくんが居ないって想像するだけで
呼吸を続けることすら怖い。

ツキくんはどんどんスズをおかしくさせた。

″倫理観″の意味なんて
きっと今のスズには辞書を引いたって理解できないかもしれない。

お願い。

ツキくん。

ツキくんだけはどうか
常識や理性なんてつまんないこと言わないでよ。

スズならしょうがないねって。

好きならしょうがないねって。

それだけで生きていけるんだもんねって。

呼吸が続くのならそれでもいいよって。

熱い指先でスズの頬に触れて。

無責任に微笑んでよ。
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