血管交換シヨ?
「そんな声出すなよー。人をオバケみたいに」

だからそう思ったんですっ!

「なん…なんでっ…まさかスズのことつけてっ…」

いやいやいやツキくんはそんなことしないし
むしろツキくんからのプチストーカー行為なんて
スズにとってはご褒美にしかならないわけで…!

ってこんな時に何を考えちゃってるんだろう!?

「そこ寄ってたんだよ」

言いながらツキくんはそばのコンビニを顎でしゃくった。

手には確かにコンビニの袋を下げている。

「あ…あぁ…すっごい偶然…」

「ほんとな。スズが歩いてくるのが見えたから急いで出てきた」

ずるい。

嬉しいじゃんか。

「何買ったの?」

「毎週欠かさない信者です」って言いながら
ツキくんは胸の高さまで持ってきたコンビニの袋を振って見せた。

白い半透明の袋から
週間コミック漫画誌が透けて見える。

「ツキくんって漫画も読むんだ。なんか意外かも」

「小説の勉強にもなります」

「そうなんだ」

「送るよ」

「いいよ。悪いよ。ツキくんとの分かれ道からすぐだし」

「だーめ。スズになんかあったら俺が後悔する」

そんなこと、今でも美桜ちゃんに言うの?

それとも今日で全部終わったの?

聞けないでいるスズをツキくんは見透かしたみたいに
歩き出しながら静かに話し出した。
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