血管交換シヨ?
ツキくんがふわりと笑った。
表紙を何度も手のひらで撫でた。
鼻先に近づけてみたら
少し古い紙の匂いと、甘い匂いがした。
ツキくんの匂いなのか、ツキくんのおうちの香りなのかは分からない。
美桜ちゃんなら知っているのかもしれない。
…当然か。彼女なんだし…。
ていうか…、その前にっ!
好きな人の前でシレッと匂いチェックなんかしてるスズのキショさが大問題なんだってば!
どうかツキくんにバレていませんよーに。
「風、ちょっと冷たいな」
「うん。学校のそばよりも肌寒いよね」
「坂、結構登ったもんなぁ」
「うん」
腕組みのポーズで腕をさすっていたら
ツキくんが「やっぱり寒い?」って言った。
「汗かいたから。冷えちゃったのかも。ジャージの上も持ってくればよかったぁ」
「着る?」
ジャージのファスナーを下げて、
ツキくんは左胸のほうをパタパタと扇ぐようにした。
きる…?切る…?まさか。
着る…………!?
「うん」って咄嗟に答えたスズに、
ツキくんは「着たいだけでしょ」って言って笑った。
打算的に「寒い」って言ったわけじゃないけれど
見透かされていて、ちょっと恥ずかしかった。
表紙を何度も手のひらで撫でた。
鼻先に近づけてみたら
少し古い紙の匂いと、甘い匂いがした。
ツキくんの匂いなのか、ツキくんのおうちの香りなのかは分からない。
美桜ちゃんなら知っているのかもしれない。
…当然か。彼女なんだし…。
ていうか…、その前にっ!
好きな人の前でシレッと匂いチェックなんかしてるスズのキショさが大問題なんだってば!
どうかツキくんにバレていませんよーに。
「風、ちょっと冷たいな」
「うん。学校のそばよりも肌寒いよね」
「坂、結構登ったもんなぁ」
「うん」
腕組みのポーズで腕をさすっていたら
ツキくんが「やっぱり寒い?」って言った。
「汗かいたから。冷えちゃったのかも。ジャージの上も持ってくればよかったぁ」
「着る?」
ジャージのファスナーを下げて、
ツキくんは左胸のほうをパタパタと扇ぐようにした。
きる…?切る…?まさか。
着る…………!?
「うん」って咄嗟に答えたスズに、
ツキくんは「着たいだけでしょ」って言って笑った。
打算的に「寒い」って言ったわけじゃないけれど
見透かされていて、ちょっと恥ずかしかった。