血管交換シヨ?
結局全部を読み終わるまでに
二ヶ月もかかってしまった。
言葉を調べることで立ち止まる時間が多かったからっていうのもあるけれど、
一番の原因は、ページを捲り始めるまでに
結構な時間を割いたからだろう。
理由は″匂いの中毒性″、これに尽きる。
遠足の日に感じた、
何度も捲られた紙の匂い。
目の前にツキくんが居るみたいな錯覚に陥って、
その匂いは脳を刺激した。
目を閉じて
鼻腔いっぱい、もはや脳いっぱいに匂いを感じる。
麻薬だった。
こんな気持ちの悪い行為、
ツキくんには絶対に言えない。
スズの脳を一番ショートさせたのは、
二枚の栞だった。
小説には大抵、元々出版社からの書籍の宣伝やイベント告知なんかの栞が挟んである。
ツキくんに貰った小説にも
二枚の栞が挟んであった。
一枚はツキくんが言った通り、
出版社の季節フェア。
もう一枚は絵画の展示会の宣伝。
二枚とも、日付が六年前のものだった。
六年前。
ツキくんは四月生まれだから十一歳。
スズはまだ十歳だった。
そんな年齢からこの小説を読んでいて、
しかも何冊も持ってるなんて驚きだけど、
そんな年月を経て、今スズの手元にあるなんて。
奇跡だ。
その栞もしっかりと香りを纏っている。
スズはいっそ、この匂いの中で死んでいきたかった。
二ヶ月もかかってしまった。
言葉を調べることで立ち止まる時間が多かったからっていうのもあるけれど、
一番の原因は、ページを捲り始めるまでに
結構な時間を割いたからだろう。
理由は″匂いの中毒性″、これに尽きる。
遠足の日に感じた、
何度も捲られた紙の匂い。
目の前にツキくんが居るみたいな錯覚に陥って、
その匂いは脳を刺激した。
目を閉じて
鼻腔いっぱい、もはや脳いっぱいに匂いを感じる。
麻薬だった。
こんな気持ちの悪い行為、
ツキくんには絶対に言えない。
スズの脳を一番ショートさせたのは、
二枚の栞だった。
小説には大抵、元々出版社からの書籍の宣伝やイベント告知なんかの栞が挟んである。
ツキくんに貰った小説にも
二枚の栞が挟んであった。
一枚はツキくんが言った通り、
出版社の季節フェア。
もう一枚は絵画の展示会の宣伝。
二枚とも、日付が六年前のものだった。
六年前。
ツキくんは四月生まれだから十一歳。
スズはまだ十歳だった。
そんな年齢からこの小説を読んでいて、
しかも何冊も持ってるなんて驚きだけど、
そんな年月を経て、今スズの手元にあるなんて。
奇跡だ。
その栞もしっかりと香りを纏っている。
スズはいっそ、この匂いの中で死んでいきたかった。