血管交換シヨ?
七月になっていた。

遠足の日も確かに気温は高めで、
それでも県営公園について木陰に入っていたら
まだ少し肌寒いくらいだったのに
もうすっかり夏になった。

ツキくんに貰った小説と一緒に季節を越えた、
なんてちょっとロマンチックなことを考えてしまうスズの脳は
すっかり恋に侵されてしまっている。

「ツキくん、おはよ」

「はよー…あっついなぁ」

「ねぇ。でも来週にはもう夏休みだね」

「あー…どっか涼しいとこ行きたいなぁ」

「じゃあ行こうよ」

「スズと?」

「スズでよければ」

「いいじゃん。楽しそう」

スズが声をかける前は机に突っ伏していたツキくん。
今は、ダランって上半身を机のふちに預けながらも、
片腕を枕みたいにして
上目遣いでスズを見上げている。

ツキくんってばほんとに顔がイイ…。
ツキくんが瞬きを繰り返すたびに
スズの心臓はちょっとずつ鼓動を速めて
ちょっとずつ死んでゆきそうだった。
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