血管交換シヨ?
「新城、帰ろ」

始業式から一週間くらい過ぎた頃だった。

放課後のホームルームが終わって、
しろちゃんと昇降口で待ち合わせしていたから
急いで教室を出る時だった。

綿貫(わたぬき)しろちゃん。

中学の時からのスズの親友。
中一から、高校生になっても一年までは
ずーっとおんなじクラスだったのに
二年生になって遂に離れてしまった。

それでもお昼休みには必ず一緒にお弁当を食べているし
放課後もカフェに行ったり映画を観たりして
スズ達の関係は変わらない。

始業式の翌日には席替えをした。

スズは窓側の一番後ろ。
ツキくんは廊下側の一番前になった。

一目惚れから二日目にして
スズは大好きな人から一番遠くに離されてしまったんだ。

それでもスズは元々人見知りしない質だったし
クラスでは一番仲良くなりたかったから
約一週間、毎日いっぱい話しかけた。

″ツキくん″って呼ぶことを
本人に認知された時は飛び跳ねるくらいうれしかった。

クラスメイトの女子には誰も、
そう呼んでいる子は居なかったから。

さっき、バイバイって手を振ったばっかりのツキくんを
教室のドアに寄り掛かるようにして″新城″って呼んだ美少女。

思わず立ち止まったら
ばっちり視線がぶつかってしまった。
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