血管交換シヨ?
「スズってさぁ、これ地毛じゃないよね」

スッとツキくんの手が伸びてきて
鎖骨の下くらいまである毛先に触れた。

髪の毛に神経が通ったみたいに
頭のてっぺんがビリビリってした。

「あー…うん。一年の時は明るめのブラウンにしてたんだけど。なんとなく黒髪もいいなぁって思って。ブラウンの期間が長かったからさ。すぐ色抜けちゃうから何回か黒染めしてる。元々黒髪で生まれてるのに変なお金のかけ方だよねー」

「でも地毛、黒じゃないよね?」

「え?スズ?」

「うん。元々そんなに黒くないんじゃない?」

「そんなことないよ。染めてなかった頃は黒かったし」

「めっちゃ茶色ってわけじゃないけどさ。この黒が抜けた部分とか真っ黒ではないし、地毛が影響してるダークブラウンって感じ」

そんなことを言いながらツキくんは
俯いていたスズの頬に触れて顔を上げさせた。

心臓の音。

たぶんもう、聴こえてしまっている。

スズの目をジッと見て
ツキくんはニコリともしないで言った。

「ん。やっぱり。目も茶色い」

「ッ…」

「瞳の色って色素が影響するから。瞳と髪の毛の色は似てるってよく言うじゃん。おんなじような焦げ茶」

「こげちゃ……」

「うん」
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