血管交換シヨ?
「なん…………」

「ぬるくない?コレ」

ツキくんは視線だけでジャスミンティーを指した。

「それは…うん…」

ここまで来たらツキくんは
本当にエスパーなんじゃないか。
本気でそう思えてくる。

でもそれとキスになんの関係があるのだろう。

「アレに書いてたんだ」

「アレ?」

ツキくんは本棚のほうを見ながら
さっき教えてくれた小説のタイトルを口にした。

「主人公とヒロインの女性が飲酒するシーン。大人って″そういう″雰囲気のノリがあるんだろうな。主人公が口に含んだお酒をヒロインに口移しするんだ。ヒロインは″なんで一度含んだ液体なのに普通に呑むよりも冷たいんだろう″って思考するんだけど。…ごめん。実験するみたいなことして」

「本当だった」

「ん?」

「温度。本当だった」

「うん。ごめん」

「何が″ごめん″?」

「いや、だから。スズで試すようなことして」

「それだけだった?」

「え?」

「キスした理由。それだけだった?」

「…言い訳。したかったからした」
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