血管交換シヨ?
朧月

壊れかけの愛を絆創膏で補強しても

水族館で遊んでから一週間後。

また、あの日の四人で遊んだ。
この日はぶらぶらとショッピングをしたり
カラオケに行ったり、登校期間の放課後でもできそうなことばっかりだったけれど
夏休み中に二回もツキくんと遊べるなんて思っていなかったから
気持ちはあの日と何も変わらずに高鳴ったままだった。

ツキくんはあの日のことは
メッセージアプリでも何も言ってこなかった。

スズもなんにも言わなかった。

無かったことにされてしまうのはすごく苦しい。
だってスズの肌はもう、ツキくんを憶えてしまったから。

でも一過性の過ちだとして、
ツキくんがもう忘れてしまいたいのなら
蒸し返してしまうほうがもっと怖かった。

「すーちゃん、もう体調大丈夫なん?」

カラオケを出た時には十八時を回っていたけれど
夏の夕方はまだまだ明るい。

中原くんが日陰を選んで歩きながら
スズのほうを振り返って言った。

なんとなく気まずくて
ツキくんを盗み見しながら
「うん。心配かけてごめんね」って答えた。
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