血管交換シヨ?
スズの気まずさになんて気づいていないのか
ツキくんと美桜ちゃんは楽しそうに何かを喋っている。

ツキくんは美桜ちゃんの彼氏。
目の前で突き付けられるのは
やっぱりキツい。

「美桜達、もうちょっと遊んでくから。二人ともまたね」

「うわー、惚気られたぁ」

「まだ何もしてないでしょ。ほんっと中原ってバカなんだから」

「じゃあすーちゃんは俺とデートでもするぅ?」

「しません」

「フラれてやんの」

目を細めて笑うツキくんのお尻を
中原くんが「うっせ!」って言いながら軽くはたいた。

ツキくんと美桜ちゃんは目の前の商業施設に入っていく。
映画館もある施設だから映画でも観るのかな。

スズと中原くんは別に用事もなくて
自然と駅の方向に向かって歩き出した。

「仮病でしょ?」

人が二人くらい入れそうな距離を開けて隣を歩く中原くんが言った。

「…気づいてたの」

言い訳も何も、
取り繕う気力もないままスズは素直に答えた。
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