血管交換シヨ?
美少女はスズの顔をジッと見て
「あぁ…」ってちょっと物知りげに呟いた。

ちょっと離れていても分かる。
マスカラできれいにセパレートされた、
くるんって上向きのまつ毛。

ツヤツヤのくちびる。

大きな瞳を三回、
ぱち、ぱち、ぱちって瞬かせて
美少女は言った。

本藤鈴芽(ほんどうすずめ)ちゃん?」

美少女こそ、
まるで鈴みたいな可憐な声だった。

いきなり名前を言い当てられて
びっくりしてスズがキョロキョロしていたら
美少女がスズの顔から胸元に視線を落とした。

名札。
白のプレートの上に″本藤″って刻印されている。

美少女の胸元には″桜田″って刻印されていた。

「でも名字しか…」

美少女は今度はスズから、
まだ教室に残っていたツキくんに視線を移した。

「新城に聞いてるよー。クラスでよく喋る女子は鈴芽ちゃんだって」

頭の先がジン、ってして
耳の先が熱くなっていくのが分かった。

スズ、今どんな顔をしているんだろう。

クラスの異性で仲がいいってツキくんが思ってくれていることも
スズが居ない場所でスズの名前が出ていることも
たまらなくうれしかった。
< 7 / 13 >

この作品をシェア

pagetop