血管交換シヨ?
「安心して。美桜ちゃんは気づいてないから」

「ううん。ごめんね。ズルいことして」

「それが目的だったじゃん。最初から、二人っきりになることが。俺だって自動で二人にしてもらえてラッキーっていうか?」

全然、嬉しくなさそうな表情で中原くんは言った。

あの日、スズとツキくんがしたことの詳細は言わないけれど
中原くんと美桜ちゃんが同じような時間を過ごしたとは思えない。

そうしてたらこうやってまた四人で遊ぶことは無かったと思うから。

「二人はあの後どうしてたの?」

「カフェスペースでフードファイター並みに食べさせられてぇー、美桜ちゃんが映え写真を何枚も撮って。その後はもう駅までダラダラ歩いてただけ。こんな風に」

「そっか。無言で歩いてたわけじゃないでしょ」

「まぁ。それは」

「だよね」

「そっちこそ何してたんだよー」

何かを勘ぐるみたいにニヤニヤしながら見てくる中原くんから視線を逸らす。

さすがに言えないスズは、
あんなことをするなんてやっぱりおかしかったツキくんのことだけを提示した。

「美桜ちゃん、ツキくんのことでなんか言ってた?」

「なんかって?」

「だって普通はさ…他の子を送ってくからバイバイなんて言われたら彼女としてはさ…ヤでしょ」

「美桜ちゃんはやさしー子なんだよ」

「そうかもしんないけど。それだけで許せる?」

「なんで?なんかあった?」

なんかはそりゃ…あったけど……。
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