血管交換シヨ?
だけど、美少女がクスクスと笑いながら
スズに体を寄せた。

くちびるだって触れてしまいそうな距離で
美少女はスズの耳元にくちびるを近づけた。

「好きなんだ?新城のこと」

「ッ…」

「素直なんだね?すぐ顔に出る」

咄嗟に美少女から離れたら、
外ハネさせたミディアムショートヘアをゆっくりと耳にかけ直すようにして
クイッて口角を上げた。
きれいな三日月みたいなくちびる。

瞳の色と同じくらいの黒髪には
摘めそうなくらいの天使の輪が艶めいている。

その瞳の色はツキくんによく似ている。

「倫理観ってある?」

「え?」

「倫理観」

「モラルってこと?」

「そう」

「なんで…」

「鈴芽ちゃんが倫理的な子なら、ね?新城はやめといたほうがいい」

「なんでそんなこと」

「彼女いるよ、新城」

「え」

「聞いてない?」

「知らなかった」

「まぁ、私なんだけど」

「……」

「新城が仲良くしてる子とはさ、私も仲良くしたいし。だから変な争い事とかは嫌だなぁ」

「スズ…そんなんじゃ…」

「だよね。新城も言ってるよ。鈴芽ちゃんはいい子だって」
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