血管交換シヨ?
何度もキスをして
何度も素肌の温度を感じた。

荒い呼吸の中で名前を呼ばれるたびに
心臓がキュッて縮こまる感覚がした。

呼吸を整えながら、日向ぼっこをする猫みたい擦り寄ってくるツキくんが可愛い。

目を閉じてふわふわの微睡みの中で薄く瞼を開ければ
ツキくんが「好き?」って微笑む。

もう夢なのか現実なのかも分からない。
罰が当たって死んだのだと言われたら簡単に納得できそうな状況だった。

依存体質。

紛うことなく、ツキくんもきっとそうなのだろう。
それは全て小説の為なんだって解った。

ツキくんは自分は天才なんかじゃないし
才能も無いんだって言った。

努力でどうにかしようとしているだけなんだって。

それだってみんながみんな、当たり前みたいにできるわけじゃない。

みるだけの夢は甘い。
努力を続ける努力すら本当は苦しくて、
その積み重ねはきっとほんの少しずつ、夢を濁らせてしまう。

それでも、それしか無いんだって先天的な病のように受け入れて、
努力して走り続ける意志の強さは凄いことなんだって素直に思う。
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