血管交換シヨ?
月に魅せられた愚か者は心を狂わせて

紅い月

パンッ…って風船が破裂した時みたいな音が
廊下に鳴り響いた。

加害者は美桜ちゃんで、
被害者はスズ。

ううん。
この場合、きっと逆なのだろう。

誰がどう見たって加害者はスズで、
美桜ちゃんが被害者だ。

夏休みがあっさりと終わって、
まだまだ猛暑は続くのに二学期は待ってはくれない。

始業式が終わった放課後。
ホームルームも終わって、しろちゃんと待ち合わせしている昇降口に向かう途中だった。

階段の手前で後ろから手首を掴まれた。

夜道で通り魔に遭う時って
こういう感覚なのかもしれないって思った。

心臓が飛び出しそうなくらいにびっくりして振り向いたスズの頬に
ジン…とした熱が広がっていく。

咄嗟の出来事だったから状況がうまく掴めなかった。

ゆるゆると自分の頬を指先でさするスズに、
美桜ちゃんが低い声で「悪魔」って言った。
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