無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。
 *


「そた、暇してんの? 一緒に帰ろーぜーそんで遊ぼうぜー」

 全ての授業が終わり、誰もいなくなった放課後。
 自分の席でスマホを眺めてボーッとしてると佐吉に声をかけられた。

「悪い、俺この後バイト」
「仕事と私、どっちが大事なのよっ!」
「うわ、だる」

 冗談と分かりながら半目で返してみせると、佐吉がうりゅっと目を潤めて背中からガバッと抱きついてくる。

「わーん嘘だよーそたと遊べなくて寂しいんだよーぅ」
「はいはい、また今度な」
「つかお前痩せた? バイトしすぎじゃね? ちゃんと食ってる?」

 佐吉が俺の体をペタペタと触るのを、シッシッと追い払う。

「ヘーキヘーキ。 ほら、いい子ははやく帰んな」

 佐吉は「えーお前もいい子なのにー?」と不服そうにしながら俺から離れた。
 すると廊下から、佐吉を呼ぶ声がする。
 どうやら他の友達を待たせてるようだ。

「じゃまたな」
「あー……聡太」
「ん?」
「その……あんま無理すんなよ」

 ルミと別れたこと、佐吉はこれまで直接触れてこなかった。佐吉なりに気にしてくれてたのかもしれない。

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