無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。
 さっきスマホで暇つぶしに見ていたSNSのリール動画を見返す。

 マイクを持って可愛らしい曲を歌う女子の動画。
 『サボって行くカラオケ最高』というコメントと共に五分前に投稿されている。
 その女子の後ろで一心不乱にタンバリンを叩いている坊主頭の男がいる。
 うん。 間違いなく石塚。
 大事な用には見えない。

「ナギオー」
「はい」

 再び草むしりを始めていたナギオが、顔をあげる。

「石塚、大事な用じゃないっぽいよー」
「? どういうことですか」
「いま女子とカラオケにいるみたい」
「……!」

 ナギオはおし黙った。
 ほんとカモにされやすいんだな。 可哀想に。
 さすがにショックだろうな。

「そうですか」

 ナギオはそれだけ言って、また草むしりに戻った。
 まさかのあっさりした返答。

「え……それだけ?」
「? それだけ、とは?」

 唖然とする俺に、ナギオはキョトンとする。

< 24 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop