無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。
「もっとあるだろ。 怒るとか悔しがるとか」
「? 何に怒るんですか?」
「ムカつかないの? 女子と遊んでんだぞ。 お前に草むしり押し付けて」
「ムカつく……?」

 ナギオは顎に手を添えて悩む素振りをする。

「……石塚くんにとってはそれが大事な用だったってことですよね。 その人にとって大事かどうかは僕が決めることではないので」

 そう言い切るとナギオは、また草をむしり始めた。
 俺は返す言葉が見つからない。

「むしろ石塚くん、かなり切羽詰まった顔をしていたので身内になにかあったのかと思いました。 だから楽しい用事でよかったです」

 ……なんだそりゃ。
 信じられない。
 お人よしにもほどがあるだろ。
 そんな顔に泥つけて、汗かいて。

「つーか他の美化委員もどこいったんだよ」
「わかりません。 さっきまでいたんですけど」

 大方めんどうになって、早い段階で切り上げてしまったんだろう。
 真面目なナギオを一人残して。

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