無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。
「っ、あーもう」

 イライラする。ほんとめんどくさい。
 俺は教室を出て、昇降口で靴を履き替えナギオの元へ向かった。

「! 安斎くん」
「手伝う」

 これはナギオが可哀想だからというより、俺の罪悪感を解消するための行動。
 だからそんなキラキラした目を向けられても困る。
 俺は腕まくりをして庭の草をチェックする。

「この辺抜いていけばいいの?」
「はい……あっ、軍手使ってください!」
「いいよ別に」
「軍手がないと爪汚れたり手が切れたりして大変ですよ」
「それお前も一緒じゃん」
「いえ、僕はいいんです」

 なんでだよ。
 自己犠牲精神か?
 腹立つ。 めんどくさい。

「あ、じゃー、はい、半分こ」
「……!」

 俺はナギオの手から、軍手のひとつを取った。
 予想外だったのかかたまるナギオを無視して、軍手を自分の右手にはめた。
 ほんのり暖かい。

「あの、結構、汗が……」
「そんなの気にすんなよ。気にしないし。よし、やろ」

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