無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。
 振り返るとナギオは地面に視線を落とし、雑草を抜いては袋に入れる、を繰り返している。


「こないだ砂場で助けてくれたことも、朝髪を直してくれたことも、今一緒にやってくれてることも……すごく嬉しいです。 こんな僕でも助けてくれる人がいるんだって、感動で、うまく言葉に出来ないくらいです」


 俺は、愕然とした。
 あまりにもまっすぐなことを言うから。

 砂場のときも、今だって、本当はめんどくさくて見捨てようとしてたって言うのに。
 ナギオの純粋さがまぶしくて、自分の黒さが際立つようで。

 なんにせよ、人間関係の暗黙のルールとかうまくやってくための何かとか、そういうものでこの白さを汚しちゃいけない気がした。


 俺はナギオの横にあるごみ袋に引っこ抜いた雑草たちを放り投げると、ナギオの前に立ち止まった。
 ナギオが俺を見上げる。


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