無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。
 毎日連絡して、できる限りデートもして、記念日には熟考したプレゼントもあげた。
 これから行くバイトで稼ぐ金だってルミとの記念日デートに消える予定になっているし、趣味の服屋巡りもウィンドウショッピングするだけで、しばらく財布は出してない。
 女子と話すのが不安だってルミが言うからなるべく避けるようにだってしたし、女子がいそうな集まりには行かないようにした。
 ルミのため、俺なりに彼氏としてできることをしていたつもりだ。
 それなのにこの仕打ち。
 泣きたいのはこっちだ。

「じゃあ、別れる?」

 言うなりルミはドン!とAを突き飛ばして、俺に抱きついた。

「嫌!! 私、聡太のことが大好きなの! 大好きだから寂しくなっちゃうの!」

 あっけに取られるAのことなんかもう眼中にないのか、ルミは俺にぎゅう、としがみつく。

「お願い、別れるなんて言わないで」
「ルミ……」
「絶対絶対、イヤ。絶対別れない……!」

 俺はまた、大きなため息をついた。
 あぁ、バイトに行く時間だ。


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