無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。
 ほのかに街頭に照らされた生首くんは、俺と同い年ぐらいに見える。
 黒々とした短髪に、目鼻立ちがくっきりとした男前。それにイケボ。
 ずっと無表情で、それがまた不気味だ。
 この世になんの未練があるのだろう。
 なんてことを考えていたらあることに気がついた。
 拍子抜けして、げんなりしながら聞く。
 

「……なにしてんの?」


 これ、砂の上に置かれた生首じゃない。


「埋まってます」


 首から下が砂に埋まった人だ。


「……」

「……」

「ほう」


 なんにせよシュールだし、全然怖い。


「動けないんです」
「あー……」


 とにかく、そういう類のそれじゃないことはよかった。
 でも、なんだかとてつもなく面倒な予感がする。
 濁った相槌をうつ俺に、生首くん(仮)は懇願するような目で見つめる。


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