無気力クールな僕ですが、真面目な天然規格外男子に沼りました。
「失礼ですが、あなたの名前は?」

 そう質問した生首くんは近くで見るとさらに顔圧が強くて、やっぱり表情がない。

安斎(あんざい)聡太(そうた)
「安斎聡太さん。 お手を煩わせてしまい本当に申し訳ありません」

 生首くんはぺこりと頭を前に倒してみせた。
 律儀な生首だ。
 悪いやつじゃないんだろうな。
 一度は見捨てようと思ったことに、じわじわと罪悪感が沸いてくる。

「いいよ、気にしないで。 それよりなんでこんなことになったの? こんな全力で公園の砂場に埋まってる人そういないよ」
「小学生と遊んでいて、気付いたらこうなっていました」
「どんな遊び方したらこうなんの?」

 それから生首くんは事の顛末を教えてくれた。
 ざっくりまとめると、暗い時間に遊ぶ数人の小学生がいて、危ないから帰ったほうがいいと声をかけたら、

 『お兄ちゃん!穴掘って!』
 『お兄ちゃん!ここ入って!』
 『お兄ちゃん!動かないで!』
 『お兄ちゃん!遊んでくれてありがとう!バイバイ!』

 と、なんやかんやしてやられて、気付いたら一人で動けない状態になっていた、と。

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