Petit Ange


「好き」

「俺の方がもっと好き」

「うぅぅ~~そんなことないもん。わたしの方がもっともっと好きだもん」




眠りにつく前の優しく穏やかな時間。



柔らかな間接照明に照らされた室内で。


 
お風呂上がりの濡れた髪をタオルで乾かしながら、悪戯っぽい笑顔を見せるるぅくんのすべてが綺麗で、目が離せなくなるのはいつものこと。




「たりねぇな」

「たりない?」

「ああ」




こんなにも好きが溢れて、どうしようもないくらい自分の気持ちを持て余しているというのに。


るぅくんはさらにそれ以上の愛を求めてくる。




「もっと俺を好きになれ」




でもそんな貪欲さを隠さない挑発的な表情がたまらなく格好良くて。




毎日るぅくんを好きになり。


昨日よりも好きで。


明日はもっと好きになる。




愛しい日々の生活の中で。


わたしが紡ぐ言葉に、るぅくんが妖艶に笑う。


ただそれだけで。


あまりの嬉しさに涙が溢れるの。




何気ない日常が何より尊いことを、わたしはもう知っているから。




「ずっとずっと、一緒にいてほしい」




嬉しくて楽しい時間も。


悲しくて苦しい時間も。


全部全部、るぅくんと一緒がいい。





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