悪事通報アプリ
☆☆☆

家に帰る前に公園に立ち寄り、靴と制服の汚れを簡単に落とすことにした。

私の両親は共働きだから今の時間は誰もいないはずだけれど、さすがに泥だらけのまま帰宅するわけにはいかない。

近所の人たちにも見られたくない姿だし。
「明日は休みだし、やれやれって感じ」

ハンカチを濡らして靴を磨きながら私はつぶやく。
隣でベンチに座っている花乃を不安にさせないよう、できるだけ明るい声を出す。

幸いなことに美羽たちに休日に呼び出されたことはまだ1度もない。
家の場所も知られていないようで、近くで出くわしたこともなかった。

「夢奈、明日開いてる?」
その質問に私は運動靴から顔を上げた。

花乃は相変わらず深刻そうな表情をしていて、なんだかほっとけない気持ちになる。
「もちろんだよ。久しぶりに遊びに行く?」

2年生に上がってから花乃と休日遊ぶ回数はめっきり減っていた。
原因はもちろん美羽たちにある。

外で遊んでいてバッタリ出会ってしまったらと思うと、とても遊びに出かける気分じゃなくなってしまうのだ。
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