悪事通報アプリ
花乃が言うと美羽はしかめっ面を浮かべて「本当に、最悪」と呟いた。

それはなにに大して最悪なのか、美羽の表情を見れば迷惑を被ったことが最悪だと言っているようなものだった。

自分のせいだとは微塵にも感じていないみたいだ。
「あれって美羽のせいなの?」

聞くと美羽は大きく目を見開いて「そんなワケないじゃん。あいつらが勝手にやったことでしょ」と、突っぱねる。

きっと事情を説明されてもそう答えるつもりなんだろう。
そして先生たちも沢山融資をしてくれる美羽を守るために、その言葉を信用するに違いない。

真実なんてどうでもいいんだ。
「そっか。美羽には関係ないか。でもこれはどう?」

私は美羽の眼前に自分のスマホをかざして、録画していた動画を再生した。
それは蒼が万引したときの動画だった。

画面上ではコンビニに入っていく蒼の姿が写っていて、真っ直ぐにドリンクコーナーへと向かう。
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