悪事通報アプリ
☆☆☆
どれだけ平和だと感じていても、あのアプリに書かれいていたことは絶対に起こる。
それは4時間目の移動教室のときだった。
「夢奈一緒に行こう」
筆記用具を抱えて近づいてきた花乃にうなづいて一緒に教室を出る。
他愛のない会話をしながら歩いていると、前方に美羽と蒼の姿を見つけた。
ふたりは距離を取って歩いていたが、途中で蒼が早足になって美羽に近づいた。
「ねぇ美羽。どうして無視するの? 私なにかした?」
そんな声が後ろにいる私たちにも聞こえてくる。
蒼の声は懇願しているようにも聞こえた。
「別に、なにもないよ」
美羽はまっすぐに前を向いたまま短く答えた。
その声色は凍てつくほどに冷たくて、話しかけるなと言っている。
だけどそれで諦める蒼じゃなかった。
今までずっと一緒にいたのだから、なにかがあってもその仲は回復することができると信じているんだろう。
私はスカートのポケットからスマホを取り出すと、ふたりの様子を後ろから撮影しはじめた。
どれだけ平和だと感じていても、あのアプリに書かれいていたことは絶対に起こる。
それは4時間目の移動教室のときだった。
「夢奈一緒に行こう」
筆記用具を抱えて近づいてきた花乃にうなづいて一緒に教室を出る。
他愛のない会話をしながら歩いていると、前方に美羽と蒼の姿を見つけた。
ふたりは距離を取って歩いていたが、途中で蒼が早足になって美羽に近づいた。
「ねぇ美羽。どうして無視するの? 私なにかした?」
そんな声が後ろにいる私たちにも聞こえてくる。
蒼の声は懇願しているようにも聞こえた。
「別に、なにもないよ」
美羽はまっすぐに前を向いたまま短く答えた。
その声色は凍てつくほどに冷たくて、話しかけるなと言っている。
だけどそれで諦める蒼じゃなかった。
今までずっと一緒にいたのだから、なにかがあってもその仲は回復することができると信じているんだろう。
私はスカートのポケットからスマホを取り出すと、ふたりの様子を後ろから撮影しはじめた。