悪事通報アプリ
☆☆☆

誰かを傷つけることはこれほど楽しいことなのか。
誰かを笑い者にするのはこれほど痛快なことなのか。

いやきっと違う。
私がここまで清々しい気持ちになっているのは、相手が憎い美羽だからだ。

私は校舎裏で土下座している美羽の頭を掴んで無理やり地面にこすりつけた。
今日は花乃とふたりで美羽をここへ呼び出したのだ。

ここでの思い出は吐き気がするものばかりだから、こうして塗り替えていこうと思う。
「私達にしたこと全部謝ってよね」

「ごめんなさい。すみませんでした」
美羽は額を地面に擦り付けて謝る。

「それってなにに対しての謝罪?」
聞くと美羽は黙り込んでしまった。

ひとつひとつに謝罪しようとしてもそれは無理だろう。
やってきた悪事が多すぎて、なにを謝罪したのかわからなくなってしまう。

「つ、机にラクガキ……」
それでも美羽はどうにか声を絞り出した。
なにか言わなければあの動画を拡散されると思っているのだろうか。
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