悪事通報アプリ
☆☆☆

「最近アプリ見てないね」
みんなで一緒に昼ごはんを食べた後、花乃がそう言ってきた。
「そういえばそうだね」

朝公園で待ち合わせてアプリを確認することが日課だったけれど、最近は公園で待ち合わせてもずっと無駄話をして過ごしている。

アプリを開いて確認してみたとしても、悪事はもう大したものではなくなっていたからだ。

「ま、いいんじゃない? 雄馬も晴希も蒼もいないんじゃ美羽だってなにもできないんだし」

私はあくびを噛み殺して答えた。
それよりも楽しみなのは今日の放課後だ。

美羽を遊びに誘ったのはもちろん一緒に楽しむためじゃない。
県会議員の父を持つ美羽に色々とおごってもらおうという魂胆があるからだった。

じゃなきゃ、あんなヤツと仲良くなんてできるわけがない。
「美羽、沢山お金持ってるかな?」

「持ってるでしょ。持って無くても、万引させればいいんだから大丈夫だよ」
私はそう言ってクスクス笑って見せたのだった。
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