悪事通報アプリ
「んなわけねぇだろ。こんなブス誰が相手にするかよ」
吐き捨てるように言われて視線はまた下を向く。

これくらいの罵倒は日常茶飯事だから慣れているけれど、傷ついていない顔をしていれば更に悪化してしまう。

「なぁんだ。晴希がその気なら今この場でやっちゃえばいいと思ったのに」
美羽が可愛く小首をかしげて言ったその言葉にゾクリと背筋が寒くなった。

美羽の命令とあれば、この男はその程度のことはやってのけそうだ。
本当に強姦されるかもしれないという恐怖心が湧き上がってきて全身が冷たくなった。

が、晴希には本当にその気がないようで「勘弁しろよ」と、顔をしかめている。
どうやら私は晴希のお眼鏡にかなう女ではなかったようで、ホッと安堵のため息を吐き出した。

「ねぇあんた。なんか面白いことやってよ」
美羽がわざとタバコの煙を顔に吹きかけてくる。

私はむせて咳き込み、涙目になって美羽を見返した。
「ダンスてもして見せてよ。ダ・ン・ス!」

美羽の後ろから蒼が囃し立ててくる。
男子ふたりは少し距離を取って傍観しているばかりだ。
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