悪事通報アプリ
この４人の誰かが自分を助けてくれるなんて思っていないけれど、最悪の状況だ。
「ダンスなんて、できないから」

口の中で拒絶しても、それで許してくれるはずもない。
美羽に強引に腕を掴まれて引っ張られる。

そのまま抱き寄せられてしまって、目の前に美羽の可愛い顔が迫ってきた。
ニコニコと微笑んでいる美羽の顔はまるで天使みたいに可愛らしい。

だけどその口元から覗いている歯はニコチンのせいで黄ばみ始めていた。
口も、タバコ臭い。

思わず顔をそむけると、美羽が体を揺らし始めた。
「あはは！　ダンスって、社交ダンスかよ」

雄馬が手を叩いて笑う。
美羽は適当なリズムを口ずさみながら体を左右に揺らす。

こんな馬鹿げたこと今すぐやめたいけれど、他の３人に囲まれている状態ではなかなか逃げ道が見つからない。

どうしようかと考えていると、突然足を引っ掛けられた。
突然のことで対応できず派手に転倒してしまう。

「あ、ごめんね？　私ダンスって下手なんだぁ」
見上げると美羽のニヤついた笑みと視線がぶつかった。
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