悪事通報アプリ
あのとき川並正則が間を取っていなかったら、あの液体は確実に私にふりかかっていたはずだ。
美羽のことだから容赦なく顔面にかけてきていたかもしれない。

そう考えて自分の顔にふれると、一瞬ただれているような感触がしてパッと手を離した。
皮膚がただれて溶けて、ボロボロになった自分の顔が想像できる。

もう1度顔に触れてみると、そこにはすべすべとした肌があってホッと息を吐き出した。

川並正則には悪いことをしたかもしれないけれど、私が被害にあっていたならきっともっとひどいことになっていたに違いない。

顔にかけられでもしていたら、ショック死している可能性だってある。
そう思うと、アプリをアンインストールすることができなかったのだった。
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