悪事通報アプリ
見てみぬ振りをしている子だっているし、イジメの首謀者だっている。
本当に大切なの?

そんな問いかけはきっと自分の本心だったんだろう。
私の指先は無意識の内に画面をスクロールし、そして美羽の名前のところで止まっていた。

「美羽か。いいんじゃない?」
花乃が楽しげな声で同意する。

「本当に、いいのかな?」
雄馬は危険な男だけれど、自分の友だちを危険に晒すことはない。

美羽を殴ることなんて想像もつかない。
「いいに決まってるでしょ。とにかく、美羽を選んでみようよ」

軽い声色でそう言われて、私は美羽の名前をタップしたのだった。
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