悪事通報アプリ
立ち上がって逃げ出そうとしても、美羽に引き戻される。
それから美羽は何度も私に足をひっかけ、体をぶつけて転倒させた。

制服のスカートは土まみれになり手のひらや膝に擦り傷ができていく。
「ほらほら立って! まだまだダンスは続くんだから!」
立ち上がる気力をなくしてしまった私に美羽が声をかける。

それでも座り込んだままでいると、今度は蒼が私を強引に立たせて、かと思えば壁に向けて突き飛ばしてきた。

勢いよく顔面から壁にぶつかった私は鼻血を吹いてその場にうずくまった。
鼻の頭が爆発でもしたかのように傷んでいる。

目に涙が滲んでそれを止めることもできない。
思わず蒼を睨みつけたけれど、蒼はお腹を抱えて大笑いするばかりだ。

「やっばぁ、血まみれじゃん」
美羽はそう言うとタバコを地面に落とすと靴で踏んづけてから、私に背中を向けた。

「ハンバーガー寄って帰ろうよ」
美羽の一言で他の3人が私から遠ざかっていく。

やっと、長い長い1日が終わる。
私は4人の後ろ姿が見えなくなるのを待ってから、鼻からそっと手を離した。

手のひらは血まみれになっていて、鼻血はまだ止まっていない。
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