悪事通報アプリ
「あぁ、そういえばそんな話もしてたっけな」
晴希が思い出したように頭をかく。

ヴィヴィンアは有名なコスメブランドでひとつひとつが数万円する高級品ばかりだ。
とても高校生が手を出せる代物じゃない。

「今日の万引がうまくいけば、香水を盗んでこさせるつもりなんじゃない?」
蒼はひらめいたという表情で喜んでいる。

悲しいが、それなら私も納得がいく。
美羽はコンビニで予行演習をさせようとしているんだろう。

「無理だよ万引なんて。できない」
私は左右に首を振って拒否した。

自分だけが苦しめられるならともかく、誰かに迷惑をかけたくはない。
「なによ、あんた万引もしたことないの?」

蒼が呆れ顔になって笑う。
美羽たち4人は他にも色々をやってきているのだろう。

万引くらいで怖気づいたりはしないのかもしれない。
だけど私は万引することがカッコイイことだとは思えなかった。
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