悪事通報アプリ
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「今朝、晴希がね……」
登校してきた蒼がさっそく今朝の出来事を美羽に説明し始めた。
美羽は話を聞きながらどんどん険しい表情になっていく。
最後に蒼は話が嘘じゃないことを証明するように、カバンの中から盗んだお茶を取り出してみせた。
その瞬間美羽が勢いよく席を立っていた。
大股で晴希の元へ向かう。
晴希もその音くらいは聞こえていたはずなのに、完全に無視して雑誌を読んでいる。
「ちょっとあんた。どういうつもり?」
美羽の大きな声が教室中に響いて他の生徒たちが談笑をやめた。
一気に教室内の空気が張り詰めて、みんなの視線が美羽へ向かう。
美羽が晴希の前で腕組みをして睨みつけている。
「どうって、なにが?」
晴希が面倒くさそうに雑誌から顔を上げた。
「蒼に万引させたってどういうことだって聞いてんの!?」
美羽が晴希の机を両手で叩く。
それでも晴希は動じなかった。
「それがなんだよ。お前が万引させてこいって言ったんだを」
意外にも晴希が言い返していて驚いた。