秘め恋10年〜天才警視正は今日も過保護〜
片想いこじらせ中
真夜中のワンルーム。狭いベッドに彼と背中合わせで横になる。

隣から静かな息遣いが聞こえる。

きっと彼は眠りについたのだろう。

触れ合う背中が熱く感じて、葵(あおい)は密かに鼓動を高まらせた。

(こんなにドキドキしているのは私だけ)

十歳年上の彼と知り合ったのは子供の頃だ。

それからずっと兄妹のような関係が続いている。

今はもう二十六歳の大人になったのに、いつだって子供扱いで心が痛い。

卵形の顔にパッチリ二重。顔の造作は悪くないと思うけど、柔らかさの足りない体が女性として魅力不足なのか。

いや、容姿の問題ではないだろう。

彼の前だと素直になれず、意地を張ったり反抗したり、可愛くない態度しか取れないのが関係性を変えられない原因だろう。

(睡眠不足が続いていたからすぐ寝られるよね。ううん、そうじゃなくても大和(やまと)さんは寝られる。私を女だと意識してないから。恋人になるなんて夢のまた夢なのかも)

起こさないよう気をつけて寝返りを打つ。

肩甲骨付近の引き締まった筋肉の盛り上がりに額をつけ、そっと片腕を回して大きな背中を抱きしめてみた。

(大好き)

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