秘め恋10年〜天才警視正は今日も過保護〜
熱いだけでいつもと変わらない気がしたが、大和の目には色っぽく映ったのかもしれない。

そう思うとますます恥ずかしくてうつむいた。

頭に大きな手がのる。

「目途はついているが、今はまだ捜査中だ」

「う、うん」

(こんなことしてる場合じゃないよね)

少々残念だが、恋愛より国家の安全を守るのが優先なのは言うまでもない。

それに、これ以上ときめいたら心臓が持たない気もした。

いつもの雰囲気に戻ったのを感じてホッと気を緩めたが、視線を合わせたその直後、素敵に微笑む大和から不意打ちのように言われる。

「今は手を出さないが、この事件を完全に解決させたら、葵のすべてをもらう。覚悟はしておいてくれ」

(大和さん……私、もう、ギブアップだよ)

本当に心臓が壊れそうで胸に手をあてた。

葵がどれほど鼓動を高まらせているのか、きっと大和はわかっていないだろう。

言うだけ言って浴室へと向かい、残された葵は慌てて部屋着に着替える。

(のんびりしてたらシャワーが終わっちゃう)

着替えてからやっとカレー作りに入ったが、抑えきれない喜びで口元が緩むのを抑えられなかった。



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