秘め恋10年〜天才警視正は今日も過保護〜
葵が言わなくても気持ちを汲んでくれたようだ。

嬉しくなって、思わず彼の腕に抱きつく。

「大和さん、ありがとう。大好き!」

顔を輝かせて言った直後に、ハッと我に返った。

(私、今、なんて言った?)

喜びのあまりに口走っただけで告白の意図はないが、言われた側がどう捉えるかはわからない。

それに加え、彼の腕に胸を押しつけている状況だ。

まさか自分がそんな大胆行動をするとは信じられず、体が固まったように動けない。

(どどど、どうしよう……)

鼓動が早鐘を打ち鳴らしていると、大和が逆側の手でマグカップをテーブルに置いた。

「急に飛びつくと危ないぞ。もう少しでお前にかかるところだった」

どうやら熱いコーヒーに気を取られ、胸を押しあてられてもなにも感じていないようだ。

「ごめん」

体を離して目を逸らす。

苦笑して恥ずかしさをごまかしながらも、心はしっかり傷ついていた。

(眼中にないにもほどがあるでしょ)

異性として意識されていないのはよくわかっているのに、落ち込みそうになると、頭に大きな手がのった。

視線を戻すと、優しく細められた美麗な目に見つめられて心臓が波打つ。

「もう一度、言ってくれないか?」

「なにを?」

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