天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい


辛すぎるだろ。

なんだかこのまま電話していると、傷つく事をいろいろ言ってしまいそうで一旦落ち着くために切る事にした。

間も無くマンションに着いて一度ピアノを触る。

翠、アイツ大丈夫なんか?
兄貴に惚れてんの?
まぁ確かにカッコいいけど。

あの男、本当に何考えてんだ?

どうやったら翠は不毛な恋から抜け出せる?
可哀想過ぎないか?

するとインターホンがなりモニターを見れば翠が兄貴と顔を並べているではないか。

とりあえず中に入れる。

聞きたくねぇ。
なんも聞きたくねぇわ。

気の利いた言葉なんて思い浮かばない。

すると兄貴の丈慈が話し出す。

全部勘違いだと。
は?

てっきりキスしてたと思ったパリの件も、まつ毛を取ってただけ…

どうやら俺はこの男にしてやられたらしい。
牽制だったのか。

でも良かった…
翠が不毛な恋をして心を痛めていたわけじゃないとわかって。


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