天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
こいつ無意識なんだよな?
こういう事言って。

「ドイツ語も話せるんだな」

「うん。あとはフランス語と英語かな?」

「へぇ」

「律はウィーンで生まれ育ったんだよね?」

「ああ」

「日本語上手だよね」

「まあ両親は日本語だったし、祖父母がこっちに住んでるから、遊びにも来てたしな」

「基本ドイツ語が主なの?」

「話す相手にもよる」

『私ちゃんと話せてる?』

翠はドイツ語で話し始めた。

『かなり流暢だよ』

『なかなか話す機会がないから忘れそう』

『全然大丈夫』

ドイツ語で会話していると店員が料理を運んできて唖然としていて、話しかけるタイミングを伺ってるようだった。

「お、お待たせしました」

「ありがとうございます」

日本語で返せば驚いた顔をする。
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