天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「ごゆっくりどうぞ。あの、ありがとうございました」
「ふふ。頑張ってくださいね。いただきます」
翠は店員に声をかけた。
「お二人ともとてもお似合いのカップルですね! お優しいし。それではお熱いのでお気をつけてお召し上がりください」
そう言って店員は席を離れた。
「か、カップルだって律。だ、大丈夫?」
「なにが?」
「勘違いされちゃったよ!?」
「別にいいだろ。気にすんな。ほら食べよう」
俺はお好み焼きを二つに切ると翠の皿にのせる。
「ありがと」
ニコっと笑う翠。
たくよ。いちいち可愛いな。
「青のり歯にくっ付いてたら教えてな」
「あははは! わかるそれ。大丈夫、黙っておく」
「なんでだよ。自分だけ楽しもうとすんな」
そんな話をしながら美味しく食べて、しっかりと青のりも残さず食べた。