天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
思ってないくせに。

一瞬、それでもいいなんて思った自分が余計に恥ずかしくて逃げてしまった。

チャイナ服を着たままソファで悶絶するようにバタバタと脚を動かしていれば携帯が鳴る。

律だ!

律は今公演の為ウィーンとドイツに行っている。
そう言えば私、写真送りつけたままだった。
ははは。

"なにこれ"

"ハロウィンパーティー行ってきたの!"

"周りは友達?"

"全員親戚"

返事が来ない。
まぁ忙しいだろうしね。

私は気にせずシャワーを浴びにいく。
またいつものように頭にタオルを巻き付けてバスローブを羽織る。

ソファに座ってボディークリームを塗っていればまた携帯がなった。

"嘘つくな"

へ?

"嘘じゃないよ! ちなみに私と女海賊以外カップルね"

女海賊は、奏翔の妹の音羽だ。

"ナンパされんなよ"

"もうされた"

絃たちが来て追っ払ってくれたけど、あんなの私でも追っ払えたわ。
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