天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
"チャイナ服なんか着て可愛くしてるからだろ"

"可愛い? やったー! ナンパは追っ払ったよ"

"本番行ってくる"

"頑張ってー! 応援してる!"

ははは。
本番前に連絡くれたらしい。

きっと今頃ビシッと燕尾服を着こなして、大勢の人たちにあの素晴らしい演奏を披露してるのか。

カッコいいな。

普段はあんなラフな格好した兄ちゃんなのにね。
どう見ても世界で活躍するピアニストには見えない。

丈慈と同い年なんだもんね。
二歳違いか。

そして週明け仕事中に律からまた連絡が来た。

"帰ってきた"

"お帰りなさい! お疲れ様"

"夜会える? お土産ある"

なんかジワっとくるな。
わざわざお土産なんていいのに。

"ありがとう"

"今度はちゃんと待ってる"

あはは。
こないだ勘違いして帰っちゃったもんね。




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