天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
私はソファに座る。
このテーブルもぴったりじゃん。

一緒に選んだ時も思ったけど、チョイスする物がとてもオシャレだ。

「あ…」

律がキッチンで声をあげる。

「どうしたの?」

「お土産、車に置いたままだわ」

そうでした。
今日誘われたのはお土産をもらうためなんでした。

「何買ってきてくれたの?」

「ドイツのビールとか」

「ビール飲みたい!」

「冷えてないぞ?」

「いーのいーの」

「んじゃ、これあっためてて。取ってくる」

私は立ち上がってキッチンに行くと律はポンと頭を撫でて部屋を出て行った。

それだけでまた鼓動が早くなってしまう。

間も無く戻ってきた律にビールを渡される。

「ありがとう」

熱々になったビーフシチューをお皿に盛り付け、真新しいテーブルに向かい合って座る。
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